大会長挨拶

第26回学術大会の開催にあたり

 第26回日本医療ガス学会学術大会大会長を務めます慶應義塾大学医学部麻酔学の森﨑浩です。2023年10月21日(土曜)東京・御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンター(JR御茶ノ水駅 聖橋口徒歩   1分)にて現地とライブ配信による「ハイブリッド形式」で開催いたします。

 本学術大会ではテーマを『ガスの起源を知り 明日へつなぐ』といたしました。2011年東日本大震災以降、本学会では電気や水道などのライフラインと同様、医療ガスを如何に必要な場所に必要な量を安定供給するかを重要な課題として、議論を深めてまいりました。


本学術大会では、別の切り口から医療ガスを含むさまざまなガスに迫ってみたいと存じます。特別企画として、東京大学宇宙線研究所教授 大内正己先生に『宇宙におけるガスの起源~宇宙創成から医療ガスまで』をご講演いただきます。日頃、考えることもない宇宙創成からガスの起源を知ることは、その明日を探求することにつながります。また生体は、体内に酸素を取り込むばかりでなく、体内でも種々のガスを発生し、また生命維持に必要な機能を担わせています。その理解を一段と深めるため、慶應義塾大学名誉教授 末松誠先生に『宿主と微生物叢の代謝連関を繋ぐガスバイオロジーと医学展開』との課題でご講演いただきます。加えて、人類に様々な恩恵をもたらしている産業ガスの一つに医療ガスがあるとの認識に立ち、日本産業・医療ガス協会   前田和也常務執行役員より『実は様々なところで活躍している産業ガス』のご講演をいただくと共に、山形大学救急医学講座 中根正樹教授には、地球上での生命活動には必須である呼吸と酸素の効果という観点から、『酸素分子の生物学的作用からより良い酸素療法を考える』という課題でご講演いただくことにしております。本学術大会に参加される皆様の見識をより一層広げ、また深めていただければ幸いです。

 また当初はその応募数を不安視しておりました一般演題におきましては、募集期間内に大変興味深い演題のご応募を様々な施設より数多くただき誠に有難うございます。予定しておりました一般演題セッションの時間を延長したうえで、日程を再調整いたしました。当日は医療ガスの将来を担う医療界、産業界それぞれの立場から、活発なご議論をいただければ幸甚に存じます。また本学術大会の開催にあたりまして、関連企業の皆様には篤いご支援を賜わりました。この場をお借りして改めて御礼申し上げます。第25回学術大会に引き続き、一般演題発表ならびに展示企業によるプレゼンテーションには参加者の投票結果に基づき、それぞれ優秀賞を準備しているところです。

  本学術大会は、医療ガスに関連の深い業務に携わる麻酔科医、看護師、臨床工学技士らの医療従事者をはじめ、産業・医療ガスに関連する企業の方々が共に医療ガスに関連する課題と将来像を討議する我が国で唯一の場であり、今年で26回目を迎えます。ChatGPTが登場し、また地球温暖化が加速するなど、先行きの見え難い世界となりつつありますが、この学術大会を機に『医療の根幹をなすガスの存在と意義』をよく知り、また効率的かつ効果的な活用を模索することはとても有意義であると考えております。

  日常業務に多忙な日々をお過ごしのことと存じますが、当日は多くの皆様と現地会場あるいはライブ配信上でお会いできることを楽しみにしております。

 

2023年9月吉日

日本医療ガス学会第26回学術大会

大会長 森﨑 浩